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第6章 第2話 オホーツク海は曇天なり  

 ロシア旅行中はずっと晴れ続きだったのに、この日は鉛色の雲が空一面を覆っていた。

 そんな曇天のオホーツク海を船は稚内へと向かって、波しぶきをあげてひたすら進む。船室はルーシー号のような個室ではなく、カーペットのひいてある雑魚寝船室。私はカーペットの上に上がると、早速壁際に荷物を置き、毛布をしいて自分の居住スペースを確保した。雑魚寝部屋は早い者勝ち。いい場所は早めにとって確保しなければあとあと苦労する。これまで瀬戸内航路や東日本海航路や関釜航路で培った経験がここでものをいう。

 船室内は非常にダラダラした感じが漂う。私も横になって寝たり、備え付けの北海道ウオーカーを読んだり。ノドが乾いたので、なにげにジュースを買いに自動販売機を見てみると、免税の為、ビールが1本100円だった。ジュースよりも安いとは。

 荒波の為、お昼前に軽食が配られた。しかしこの軽食、本当に軽食と言う他の表現が見当たらない程の貧弱さで、6時間程度のこの航路がルーシー号よりも高いと言うのが納得いかなかった。

 甲板に出てみても曇天で視界は悪い。

 しばらくぼけーっとしてたら、1人のロシア人の女の子が声をかけて来た。英語が話せたその子は私に名前や住所、果ては結婚してるか、子どもはいるのかなどなど質問してくる。更に友達をぞろぞろ連れて来て、一人ひとり紹介してくれる。
 その子らは聞いてみると、日露親善の交流の何かで稚内へ行くとの事。しかも高校生くらいかと思って年令を聞いたら、12歳だった。

 賑やかなおじょうさん達と話していると、遠くに陸地が見えて来た。稚内だ。

つづく

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さらばコルサコフ。さらばロシア。