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第4章 第4話 シャンパン男と金髪美女  

 さて、私の隣はと言えば、黒革ジャケットを羽織った若い男性が座っていた。まるで香港映画に出てくる悪役っぽい。更に、その隣に金髪美人をはべらせているのが、また悪役らしさを演出していた。

 びくびくしながらも私は隣の男性を気にしていた。ふと見ると鞄の中から何やら一つのビンを取り出し、栓を抜こうとしているではないですか。

 (え?何?何? 何してるの??コイツ)

 またこのビンがどうみてもシャンパンにしか見えない。

 ポン!

 機内に響き渡る開栓の音。溢れ出る泡。
 男性は手から膝からシャンパンでずぶ濡れ。
 予想通りのオチとはいえ、おいしすぎるぞ。この男性。

 慌てふためく彼に私はタオルを差し出す。もちろんお礼のシャンパンを期待しての事(笑)。

 が、魂胆通り、シャンパンのおすそわけを頂く事に成功。
 悪役かと思っていたが、結構いいヤツではないですか。
 金髪美女は若干英語を話せたので、私が日本から来た、と言うと驚いてた。どうやら中国人だと思っていたらしい。金髪美人は家族の写真などを見せてくれ、何とものどかでアットホームな空の旅となった。

つづく  

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機内で配られた軽食。パンやチョコレート、チーズ。
この時点ですでに私の胃袋にはシャンパンが入っていた(笑)