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第4章 第2話 ウラジオストック空港
(前編)
 

 あまりにする事がなく、空港内を行ったり来たりぶらぶらしていた私。その間、一人の青年が気になって仕方がなかった。20代あたま位の歳に見える彼は、何やら木刀の様な物を持っている。

 ちょくちょく気にしつつ、向こうも何気なく気にしているような感じはしていたが、特に話しかけたりせず、私はロビーから見える滑走路の飛行機をスケッチしていた。

 と、彼が話しかけて来た(脚注1)。しかし、残念な事に彼は英語が出来なかった為、特に突っ込んだ会話が出来た訳ではなかったが、なんしか彼もサハリンへ向かうのだと言っていた。

 私が空港へ着いてから4時間余りたち、ロビーにも人が増えて来た。午後5時頃、ようやく搭乗手続き開始。小心者の私は様子を見つつ、一番最後に手続きを受けた。
 手続きそのものは全然難しい事はなかったのだが、勝手が分からないとやはり不安だ。更に、その不安をあおるかのように、日本人の私にだけ、係員の目つきは厳しいのだ。普通にロシア人が素通りしているのに、私には質問を投げかけてくる(英語で)。

 とはいえ、なんだかんだで問題なく出発ロビーまで辿り着けた。木刀君とその友達も私を見つけて近寄って来た。
 何を言っているのだか分からなかったが、たぶん、「よくここまでこれたな〜」みたいな事を言っているのだと思う。

やれやれ。

つづく  

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 脚注1:最初に向こうから話しかけてきたのか、こっちから話しかけて行ったのか覚えていない。