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第3章 第4話 ロシアでのたれ死に  

 てっきり空港まで行けるものだと信じて疑っていなかった私は、どことも知れぬ町で降ろされ、頭の中は真っ白。

 「とりあえず、人の歩く方へついていってみよう...」

 フタラヤレチカでの失敗も忘れ、またしても人の歩く方へとついていく。が、予想通り住宅地の奥深くへと入っていき、空港どころじゃない。

 では、反対側は?
 来た道を引き返し、反対側を歩くが、やはり空港の雰囲気すら何も感じられない。

 「ここは一体どこ?」(脚注1)

 それすらも分からず、うろうろ。と、ふと見ると市場が。
 今まで見た中では最も大きい規模の市場で、食料品から衣類に至るまでいろいろ揃っている。これはめっけもん。お腹も空いたのでピロシキを購入。ついでに店のおばちゃんに空港の場所を聞いてみる。

 おばちゃんははるか遠くの方を指差す。

 もちろんそんな住宅街の近所に空港などあるわけもなく、途方に暮れてバスターミナルへと戻って来た。

 (もしや、このままロシアでのたれ死に?)(脚注2)

 ぼんやり行き交うバスを眺めると、一台のバス(ワゴン車(脚注3))に目がいった。行き先表示に『 7 аэропорт 』と書かれている!

 もしや、と思い車掌に聞いてみる。と空港へ行くとの返事。
今更になって101系統のバスの車掌が書いてくれた文字の意味を理解し、喜んでバスに乗車。

 そしてバスはガタガタ軋ませながら動き出したのだった。

つづく  

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 脚注1:私がさまよった場所はウラジオから約30km余りに位置する『アーテム(АРТЁМ)』と言う町だった。意外と大きい。帰国してから分かったのだが、ウラジオストック、ナホトカ、ウスリースクへの分岐点らしい。どうりでバスターミナルもでかく、人も多かったわけだ。

 脚注2:バスで空港へ行けなくても、最悪、タクシーで行くつもりだったので、そんなに悲愴感はなかったのですけどね。

 脚注3:ワゴン車のボディーには『特別養護老人ホーム●●園』って書かれてありました(苦笑)

 

アーテムの公園にて。
いきなり戦車です。
ちょっと日本では考えられない光景ですね(苦笑)

他にも戦闘機(ミグなんやら)がありました。

バスターミナルの周囲はほとんど住宅地。
見どころといえば市場くらいっすね。