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第3章 第3話 バスは走る  

 車掌は50前後の小太りなおばちゃん。乗客一人ひとりの切符をチェックして歩き、ついに私の横へ。ドキドキ。切符を買わずに乗車してるので、怪しまれないように、空港へ行きたい旨の意思をなんとか頑張って示そう!

 「あ....あらぽ〜ると」

 と、どうにか意味が通じたのか、おばちゃん車掌は切符を発行してくれた。更に向かいに座っていた男性に、駅に着いたら知らせてやるよう伝えてくれてた。なんとも嬉しい。

 さて、安心すると景色を眺める余裕も出て来た。窓の外にはアムール湾。あぁ、なんて綺麗なんだ。そうこうするうちに電車はウゴリナヤ駅に到着。と、向かいの男性が私の肩を叩いて降りる事を教えてくれた。「スパシーバ」と礼を言いホームへ。

 ウゴリナヤ駅はロシア号も止まるだけあってホームが長い。
 跨線橋を渡るとそこにはバス乗り場とバスを待つ人々の列。
 間もなくバスがやってきて、系統を見ると『101』(脚注1)と書かれているではないですか。興奮して運転手に「空港へ行くか?」と聞くと、横から車掌の「ダー」との返事。

 やった〜〜〜〜〜。遂に空港へ自力で行けるのだ!!
 このバスにさえ乗っていれば空港へ着くのだ。

 安心しきった私を乗せ、満員のバスは田園地帯を走る。野を越え丘を越え、なだらかな山を遠くにのぞみ、牧場では牛がのんびり草を食べている。気分はまさにピクニック♪

 30分も走った頃、次第に家々が増えてきた。
 「いよいよ空港か?」
 しかし、そこには空港もなにもなく、あるのは住宅地に囲まれたバスターミナル。そして、バスが止まりドアが開くと次々と乗客が降り出した。

 「へ?何?何??」

 さっきまでのピクニック気分が一転。不安がしのびよる。
 最後に私一人だけになって、そこへ車掌が近寄って来た。車掌は何かを言っているが意味が分からない。手帳を渡して書いてもらうと、何やら意味不明の暗号ともとれる物(脚注2)を書き「ここへ行け」とかなんか言っている。そして、私はバスを降ろされた。

......ってここは一体どこ?
空港は?

つづく  

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 脚注1:乗客が結構多い路線のようで、観光バスが使われていた。

 脚注2:これです→ 
 この暗号が何かを次話を読むまでに
 解読してください。

〜バス車内にて〜
隣に座っていたおばさんはお昼寝。
膝の上ではダックスフンドが外を眺めてました。
のどかなロシアの昼下がり。