その8

 

グァムの先住民族である「チャモロ族」

彼らはスペイン統治時代に奴隷のように扱われ、当時の遺跡等も戦争によって破壊された。そうして人口が激減した上、その後のアメリカ準州となってからも増えることななく、混血が増えたが、純粋なチャモロ人は既にいなくなったそうな。

そんなチャモロ族の伝統や風習を今に伝えようと、毎週2日、グァムの州都「ハガニア」のチャモロビレッジと言う場所で縁日のようなものが行われている。
当日はタモン地区やタムニン地区からも臨時のバスが多数出ているが、なにせ人が多い為、乗れないんじゃないか、との不安もあった。

そのため、私達はまだ夕刻には少し早いが臨時バスが出る始めの頃の時間に出発した。

プレミアムアウトレットから直行バスに乗車。
私たちは早めに並んでいたが、確かに発車直前にはかなりの列が出来ていた。

 


プレミアムアウトレットからは比較的近い

 

バスは海沿いの道を南西へ向かって走る。
10分余り走り、マーケット会場に到着。
バスを降りるとバーベキューのような、香ばしい、炭焼きのような臭いが漂う。
広場には沢山の屋台が並び、食べ物関係だけでも、串に肉を刺して焼いたもの、チャーハンのようなもの、焼きそばのようなもの、スパゲッティのようなもの、ココナッツジュース、デザート類、いろいろ。
そして、土産物関係では、やしの実やサンゴを加工した工芸品、などなど。
とにかく何でもアリなのだ。
観光客はもちろん、現地の人も大勢来ている。
特に何を買うでもなくても、ぶらぶら見てるだけでもそれなりに楽しいかもしれない。

 


店だらけ

 

また、ステージではバンドの演奏があり、雰囲気を盛り上げている。
客はそれぞれ屋台で買ってきた食べ物をステージ前で演奏を聞きながら食べていた。

もう一つある方のステージでは、子ども達によるダンスショーがあるらしく、腰ミノを付けた子ども達数人の姿が見える。
司会らしき人物がステージ上で何か話しているが、一向に始まる気配がない。
私たちはそのままベンチに座りながら、買って来た食べ物を食べつつ待っていた。
スパゲッティやバナナの天ぷら。
なんというか、日本にはちょっとなじみのないエスニックな味わいだw

 


黙々とヤシの実を切るオヤジ

 

にしても、ステージの方は一向に始まらない。
腰ミノを付けた子ども達もなすすべもなく後ろでうろうろするばかり。

どうやら、演奏担当が遅れているらしい、と言う事がわかり、結局2回行う公演のうち、最初の1回は中止することとなった。
かなり待ったあげく、ステージが見れなかったのが非常に残念。
お詫びの言葉もないのが腹立たしい。
(あったかも知れないが、外国語なので分らない。また、私らが席を離れてから、子ども達がベンチの客1人ひとりと握手していたらしい)

そんなこんなで、日も暮れてきたし(本当は日が暮れてからが本番なのだが)子ども達も疲れてきたので、帰りのバスが混む前に帰ろうと言う話になった。
天気の方も気になる。着いたばっかりの頃に軽くスコールが降ったし、またいつ降ってもおかしくない。

ホテル行きのバスに乗り、帰路に付く。

慌ただしく、少々腹立たしかったお祭りを思い出しつつ、陽が沈んだグァムの道をバスは走る。
丁度、プレミアムアウトレットまで戻って来た頃、それは突然起こった。

一瞬、青白い光に周囲全体が包まれたかと思うと、次の瞬間には辺りの電気は全て消えていた。

え?

まず信号機の灯りが数度の点滅を繰り返したのち正しくつき、横に見えるプレミアムアウトレットも薄暗いものの電気が付きだした。

どうやら停電したらしい。

バスは何ごともなかったようにホテルへと向かうが、周囲の街並の灯りは全て消えている。

日本に住んでいると停電はこの頃めったになくなり、あったとしても特定のある1エリア程度で復旧もすぐだから、そんなにたいした事とはこの時は感じていなかった。

実際、遠くに見えるタモン地区のホテルには灯りがついているし…
しかし、そんな見方こそが、豊かな国「日本」に住んでいる甘い考えであることに気付くのに、そう時間はかからなかった…

つづく