朝。
昨晩のスーツケースの鍵を無くした事が夢だったら...と思いつつも、やっぱり鍵は見当たらず。
自分のあまりのアホさ加減に、流す涙も出てこない。

さて、クヨクヨしてても仕方がない。
気を取り直して朝食をとり、ミュンヘン市内観光へと向かう。(但し、昨日と同じ服)
1日切符を購入し、まずはマリエンプラッツで下車。

広場を通り抜けてバイエルン州立歌劇場へ。
もしかして今晩公演のオペラの当日券があるかなぁと思い、チケットセンターで聞いてみる。
が、返ってきた答えはフランクフルトと同じく「Sold Out」だった。残念。

仕方なく、レジデンツへ。

レジデンツは昔の王宮をそのまま利用した博物館なのだが、とても広い。
有名なのだかどうだかわからない絵画や美術品が所狭しと並ぶ中、片っ端から見て歩く。

 

 

 

私とヨメとは見て歩くペースが違うので、いつの間にやらヨメにずいぶん差をつけられているが、お互いのペースでのんびりと見て歩く。
と、ふと先を見ると、ヨメが何やら係員に親し気に声をかけられている。
若いオトコか?と思ったら、初老の男性だった。

話好きのおじーさんはヨメが日本人と知ると、「ワシもかつて日本へ行ったことがあるんじゃよ」「サッポロとトーキョーへ行ったじょ」、と誇らし気に話していたが、私が加わるとつまらなさそうにどこかへと消えていった。

さて、市庁舎前広場の仕掛時計の時間が近付いていたので、最後の方は殆ど見ないまま博物館を出て、市庁舎のある広場へと向かう。
あまり人のいなかった広場には、ちらほらと人が集まり、仕掛時計が鳴る時間になると結構沢山の人が塔を見上げてた。 

リーンゴーン

鐘の音が鳴ったのに、仕掛人形が動かない。

『?』

どないなってんのや?と思い始めたころ、ようやくクルクル動き始める。
次から次へと人形が出てきては、流れて消える。
ところが、動き出したがいいが、今度は長い。延々続いて終わらない。
いつになったら終わるのだろう?と思いつつも眺めていると、15分も続いてようやく終わった。

「ツアーで時間が決まっている人だと、最後まで見られないですよ」

と、ウスイさんが言っていたのを思い出した。本当にその通りだと思う。

丁度お昼時。お腹が空いたので何かを食べに行く事にした。
近辺の市場で食べ物の屋台とでも言うのか、お店が並んでいたので、そのあたりをぶらぶらと見て歩く。
なんと、スシの店まであるではないか。

 

  
スシの屋台            またしてもソーセージ

 
ぶらぶら歩いて見て回った結果、座ってちょっと休みたいので、イス・テーブルがあってビールの飲める店(というか、屋台)へ入ってみる。

私らの前に並んでいた女性が注文していたバーガーが美味しそう。食べたいなぁ。
ドイツ語が出来ないので、女性のバーガーをひたすら指さして同じものをくれ、と頼む。
ついでにソーセージ2本とザワークラフトとビールを注文。

真っ昼間からビール。うれしい。これがこの国の日常なのだ

食べつつ、2人でカメラを撮ってたら、店のニーチャンが気付いてやってきて、撮ってあげるよと言ってくれた。

 


 

観光客に親切。ええ国や。

お腹もいい調子になり、店を出て、Sバーンでドイツ博物館へと向かう。
この博物館も相当広く、鉄道を始めとして飛行機やら船といった乗り物が、沢山展示されていた。
結構早足で見ていったつもりなのだが、それでも全部は見きれずにあとにする。

博物館からの帰り、立ち寄った書店で漫画「るろうに剣心」のドイツ語版を発見!
以前、韓国で「るろ剣」の1巻を購入したので、ここでは2巻を購入しておく。

また、書店の隣にはスーパーがあったので、そこで職場用のお産を探す事に。
いろいろ見て回ると、グリコのポッキーのヨーロッパ版「MIKADO」があったので、17箱も購入する。
すると、MIKADOの棚がからっぽになった。

  

     

  

  

 

一旦ホテルへ戻り、数々の土産を部屋に置き、再びマリエンプラッツへ。
追加の土産を購入し、夕食場所を探す。
昨日、『ホーフブロイ』へ入ったので、今日は『ハクセンバウアー』へ向かい、店の外から覗いてみたのだが、どうにも私らには近寄りがたい雰囲気の店構えだった。
そこでまたも『ホーフブロイ』へ。

2度目ともなると慣れたもの。
最初からバンド近くの席に座り、ビールとウインナーを注文。
私らは私らで盛り上がっていたが、隣の席のおばちゃん集団が異様に盛り上がってる。カバンから持参のおかしまで取り出して食べ出す始末。いいのだろうか。

ついにはバンドの音楽に合わせて踊り出すおばちゃん達。
楽しそうやなぁ〜と思いながら眺めていると、おばちゃん達から踊らないかと誘われた。
マダムどもとダンスを踊っていて、ふとヨメはと見ると、なんとヨメは若いニーチャンと踊っていた。

結局、お店には3時間程いた事になり、名残惜しくもホテルへと戻る。

さて、ホテルにて。

夢のような楽しい時間が終わり、鍵を無くして開かなくなったスーツケースと、沢山のMIKADOを前にして、一気に現実へ。
よくよく考えたら、スーツケースも開かない状態で、お土産のMIKADO17箱も一体どうやって日本へ持って帰ったらいいのだろうか。

このまま諦めてしまうのも勿体無い。
最後の悪あがき。
何故だか、たまたまポケットの中に針金のクリップがあったので、試しに伸ばして鍵穴へ差し込んでみる。
そしてそのまま、ガチャガチャと回してみる。

む。何かしら手ごたえアリ。
これはもしやいけるかも。

ルパンの気分で針金をグリグリしていると、しまいに「カチャン」の音と共に、バカンとスーツケースが開いた。

開いた!
開きましたよ!スーツケースが!

とりあえず開いてしまえばこっちのもの。
鍵はないけれども、数字で合わせるロックが付いているので、そっちで閉めれば一応大丈夫やろう。

それにしても、私のようなシロートでも針金で開くスーツケースって一体... _| ̄|○

 

(脚注)
【レジデンツ】
かつてバイエルン王家が住んでいた宮殿。現在は博物館。
Uバーン/オデオンプラッツ駅下車

【仕掛け時計】
夏期と冬期とで仕掛時計が動く時間が違っているらしいので注意。(具体的に何時だったかは忘れたが...)

【ドイツ博物館】
自然から科学やら、とにかくなんでもありな博物館。広い。でかい。丁寧に見ていたらマジ日が暮れるので、サックリと見て回るか、1日かけることをお勧め。
Sバーン/イザールトーア駅、もしくはローゼンハイマープラッツ駅下車

【るろうに剣心】
和月伸宏氏原作の漫画。略して『るろ剣』とも呼ぶ。

【MIKADO】
グリコのポッキーのドイツ輸出版。どう突っ込んでいいのかわからないネーミングがグッド。フランスでも見た、と言う知人がいたので、ヨーロッパ全域で売っているのかも知れない。値段は1ユーロ弱程だったと思う。