ホーエンシュバンガウを出たバスは、一路、ミュンヘンへと向かって突き進む。
一面銀世界だった風景も、次第に雪がなくなっていく。

雪景色が減っていくのに比例して、のどかな田園風景も減り、代わりにビルや人や車が増えてくる。

ミュンヘンが近付いてきた。

フランクフルトとはまた違った感じの都会らしさがあるような気がする。
フランクフルトは古い町並みと近代的な高層ビルとが混在しつつも調和している『都市』。
一方、ミュンヘンはフランクフルトほど高層ビルはなく、歴史的建造物を大事にしている『古都』。
なんか、そんな印象を受けた。

と、そんなことをぼんやりと思いつつ、ミュンヘンの市街に入ったあたりで、ウスイさんから重大発言。

 

「バスはシティ・ヒルトン(ホテル)に到着します。

ここからは皆さん個人で各宿泊先まで移動して頂くのですが

一部区間で鉄道工事の為、運休しております」

 

Σ(゚Д゚;)

 

こんな時くらい、それぞれのホテルまで送ってくれたらいいのに、そうはしてくれないらしい。
バスはミュンヘンの中央からほんの少し外れたシティ・ヒルトンに到着。
ぞろぞろと降りる私ら。

ウスイさんともここでお別れ。

ここから私らの泊まるアトリウムホテルは、鉄道(Sバーン)に乗れば2駅程度なのだが、正にそのSバーンが運休している。
でっかいスーツケース担いで、混んでいるバスやトラムに乗る程体力も残っていない。

 


ミュンヘンのトラム

 

 

結局、私らはタクシーに乗る事にした。

タクシーはすぐにやってきた。しかもベンツですよ。ベンツ。
もっともドイツではベンツは国産車なので、当たり前といえば当たり前なのだが、日本じゃベンツのタクシーなんて乗る機会はそうもないので、ちょっと嬉しい。

しかも運転手は女性だ。運転手のねーちゃんに行き先を告げると、ベンツは滑るように走り出した。
さすがはベンツ。

ミュンヘンの街中を、バスやトラムをしり目にぐんぐんとスピードを上げていく。
さすがはベンツ。
案の定、Sバーンが一部運休なので、バスやトラム乗り場には長い列がついていた。
私はヘンな所へ連れていかれないかと、ちょっとヒヤヒヤしつつ、ガイドブックのミュンヘンマップで今走っている場所を常に確かめていた。

 


ミュンヘン中央駅

   

あっという間にアトリウムホテル到着。
タクシー料金の他に、荷物料金(脚注)も追加で取られたが、それは仕方がない。

さて、ホテル。

中央駅からは徒歩で10分程離れたホテルで、日本人が夜に一人で歩くには少々恐い感じ(風)のエリアにあるのだが、ホテルの中はそこそこ広く、綺麗だった。
部屋もわりかし綺麗だし、お風呂も綺麗。
今流行りのシンプルモダンで統一された感じ。

もうすっかり日も暮れてお腹も空いたのだが、どこかへ食べに行くには余力がない。

そこで、中央駅へ行き、売店で何か買ってホテルの部屋で食べることにした。
フランクフルトでもそうだったが、中央駅にはソーセージを焼いて売る屋台をはじめ、スーパーマーケット、カフェ、フードコート、果ては書店や銀行など一通りの店は揃っており、駅だけで一つの街として機能していると言っても過言じゃない。
あれこれ見て回ってソーセージやら、チキンやら、サラダやら、いろいろ購入。
部屋へと戻ってそれを食べて一息ついた。

風邪気味なので、今日は早めに就寝。

 

 

(脚注)
【荷物料金】タクシーを利用する際にスーツケースをトランクに積み込んでもらうと追加料金を取られる。(金額忘れたけれども、1ユーロとか2ユーロ位やったような...)

【アトリウム・ホテル】ミュンヘン中央駅より徒歩約10分。
正直、観光ポイントとは離れた方向にあるので、便利とはいいがたい上、周囲の環境もちとアヤシイ。
しかし、部屋は綺麗。

【古都】ドイツの町並みは、日本の京都や奈良や鎌倉のように1200年も続いた街ではなく、大戦で焼けたのちに復興した街が多いらしい。

【鉄道】Uバーンと呼ばれる地下鉄と、Sバーンと呼ばれる近郊鉄道とがある。Sバーンも都市部では地下を走ってたりするし、Uバーンも郊外では地上走ってたりするんで、日本での地下鉄・国電程厳密に分類できないような印象もあり。