ハイデルベルグを出たバスは、古城街道をひた走り、ローテンブルグへと向かう。

川に沿って街道が続く。時折、山の上に小さなお城が見えては通り過ぎ、またしばらくして、今度は川の向こうに小さなお城が見えては通り過ぎて行く。

お城に近付くにつれて、ウスイさんが一生懸命説明をしてくれているのだが、朝早かったこともあってか、あんまり聞いていない。

つか、うるさい。
静かにしてくれい。

街道を離れ、アウトバーンに入る。

 

 
 

途中、サービスエリアに立ち寄り、停車。
これまた日本のとよく似ている。
カフェがあって、売店があって、トイレがあって、ガソリンスタンドがある。
ただ違うのは、トイレが要チップという点か。

15分程の休憩後、バスは再び高速を走り、夕方4時頃、ローテンブルグ到着。ローテンンブルグは城壁に囲まれた古い町なのだが、戦災でその殆どが焼かれ、今あるのは戦後復興した町並みらしい。

バスから降りて、一行はゾロゾロと市庁舎の前へ。
ここで1時間程自由行動。

殆どの人がウスイさんにくっついて市街地を歩き回っていたが、私らは行きたい所があったので、ウスイさんからは離れて行動する事にした。

(つか、こう書くと、どこまでも集団行動に馴染めない人やね。ウチラって)

まず私らが向かった先は、ローテンブルグ名物の『シュノーバル』のお店。
もう夕方近かったので、ウスイさんと歩いていたら、お店が閉まってしまうおそれがあったのだ。

シュノーバルはチョコレートがかかっているものをはじめ、いくつかの種類があって、ガラスのケースの中に沢山並んでいた。
普通に砂糖がかかっているものを購入し、店を出る。

シュノーバルを一口かぶりつくと、砂糖とビスケットの破片が、ボロボロとこぼれる。結構食べにくい。

コートの袖を砂糖とビスケットとで汚しながら歩き、旧市街を囲む城壁へと向かう。
城壁は歩く事が出来るのだが、もちろん陽が沈むと暗くて歩けない。
明日は早くに出発だし、城壁を歩くとしたら、この時間しかなかったのだ。

 


階段

 

日没前だからか城壁は殆ど誰もいない。
階段を上り、周囲を見渡すと、ローテンブルグの街が夕陽に照らされていた。
ゆっくりと歩きながら、いにしえの人らに想いを寄せる。
つか、RPGゲームの世界に浸っていた(笑)

ぶらぶらと歩いているうちに集合時間が近付いたので、市庁舎へ。
再度バスに乗り、それぞれの泊まるホテルへと向かうのだが、この時点でさっきのシュネーバル屋は閉まっており、買えなかった人らがうらめしそうにしていた。

 

 

さて、私らは、旧市街のはしっこにある『プリンツホテル』に宿泊。
私ら以外にも日本人観光客が沢山泊まっていた。
と言うか、日本人以外の宿泊客を見なかったような気もする。

チェックインして一息ついて再び街へ出る。

 

 
夜の市庁舎

 

とは言え、夜7時頃のローテンブルグは薄暗く静まりかえり、どことなくもの悲しい感じが漂う。このまま異人さんにさらわれるとちゃうやろか?とかあらぬ事を考えてしまう。

メイン通り(と言うのだろうか)から少し横に入った所に、こじんまりとしたカフェのような店を発見。
『日本語メニューあります』との張り紙がしてあったし、誰も客がいない店なら不安だけど、外から見る限りでは店内に客も入っているようだったので、まあ大丈夫かと思い入店。

ところがどっこい。客と思って外から見えた人は、実は店員さん(もしくは店員の身内?)。
それも仕事せずに呑んでいるから、サクラの役を演じていたのかも知れない。
その奥でお姑さんだろうか、店の床をモップで拭いている。

私ら以外に他に客の姿は見えない...

なぜだか壁一面には沢山の写真。その中には、どうした訳だか、大阪城や皇太子殿下の写真もあった。

(ちょっとヤバイ?)

と思ってる間におばちゃんがメニューを持ってきた。
とりあえず、ハイデルベルグからずっと寒かったんで、暖かいものを注文。
何かよく解らない飲物だった(←ヤバイって)が、これが意外とおいしかった。
あとはいつものようにソーセージとポテト。

 
 

すっかり調子もよくなり、お店のおばちゃんらも声をかけてくる。
意味はわからないけれども、なんか楽しそう。

(そうだ、今こそ日本から持ってきた紙風船を使う時ではなかろうか)

期日前投票の会場で貰ってきた来た紙風船を颯爽と出して膨らませ、手のひらで軽くポンポンと叩いてみながら、おばちゃんとおっちゃんに渡してみせた。
おばちゃんもおっちゃんも嬉しそうにしてくれた。

もしもローテンブルグのそのお店に『京都市長選』と書かれた紙風船が今でもまだあったら、それは間違い無く私らが持って行ったものに違いない。

帰り道、ローテンブルグ名物のテディベアのお店へ。
とにかく店内はテディでいっぱい。
折角なので、お土産とばかりに一つ気にいったのを購入。

一応、名前が付いていたらしく「フェルディナンド」とか言うらしい。

売り物に名前付けてるなんて...ドイツ人、恐るべし。

 

(脚注)
【トイレ有料】
ドイツではトイレにチップがいる事が多い。高速のサービスエリアの場合で30セント。