結婚してしまいました。

 

大抵の人って、挙式・披露宴をあげると、その次の日や、または、近いうちに旅行に行くものなんでしょう。
ところが、私たちはそうしなかった。
つか、できなかったのです。仕事の都合で。
お互い、仕事が忙しい時期だった事もあり、実際のところ、「休みくださぁ〜い」とは、なかなか上司に言いにくかったのだ。

それと、もひとつ。
結婚が決まってから、披露宴の段取りやら2次会の段取り。新居への引っ越し、各種手続き、と、半年の間にしなければいけない事が山積み。時折、「新婚旅行はどこそこへ行きたいなぁ」といったような話はしてはいたものの、具体的に旅行の計画にまでは至らなかったのだ。

そうこうしている間に、式も終わり、月日が流れ、新しい生活にも落ち着き、そろそろ旅行に行ってもいいだろう、と言うことになったのだ。

 

そこで、問題勃発。『さあ、どこへ行こう??』。

一生の思い出となる新婚旅行。そうそうヘンなとこへも行けまい。
何年かたって、もしも子どもに「新婚旅行どこいったん?」と尋ねられて、例えば、「北朝鮮!」とかって言えないじゃない。
それだけに場所選びは慎重になる。
パンフレットを取ってきては比較検討。候補地が浮かんでは、次々消えゆく。

始めに私から提案したのは『カナダ』。
しかし、山育ちのヨメにとっては、わざわざお金出してまで山を見に行く必要はないと却下。

ヨメから提案のあったのは、『プーケット』や『バリ』などの南の島。
でも、暑さ苦手の私にとっては、南の島は地獄そのもので、これも却下。

更に、『オーストラリア』が浮かぶが、費用面で折り合いが付かず、それが消えると今度は『アメリカ』が現れた。
もちろん『ロシア』や『北朝鮮』は私が言うより早く、ヨメにより却下された。

『アメリカ』は結構頑張った(笑)

正直、アメリカで気持ちは固まりつつあったのだが、他にもパンフレットをちらちら見ているうちに、ヨーロッパが気になり出した。

アメリカのテーマパークやラスベガスなら年をとっても行けるが、ヨーロッパはそうはいかないかも知れない。値段的にもまあまあ似たようなものだ。

そういった経緯で、ヨーロッパ行きが決定!

ヨーロッパのツアーでは、バスで数カ国を回るツアーをよく見かける。
しかし、バスで数百キロも走り、駆け足で観光地を見て回り、またバスで数百キロも移動。これでは観光してるのだか、バス乗ってるのだか、なんなのか分からない。
しかもこれは、もはや若いと言えない私らには体力的にもキツい。
そこで、私らはドイツだけにしぼる事にした。

 

 

 

なぜドイツか?

と尋ねられるとちょっと返答に困るのだが、まずイギリスやフランスはいかにもミーハーすぎてて、最初っから私の頭にはなかった。治安がよさそうで、新婚旅行にもおかしくなくて、それでいて、ちょっと意外で私らしい所...と言う事でドイツになったような気がする。

しかし、パンフレットを見ていると、イギリスやフランスら他の欧州諸国と比べて、ドイツツアーは意外と少ない。

むむむ。何故だ。

そんな中、ヨメがネットで、ロマンティック街道をメインにした7日間のツアーを見つけてきた。

旅の最初のフランクフルトと最後のミュンヘンは完全自由行動であるが、街道の移動は観光バス。途中にノイシュバンシュタイン城の観光もついている。
基本的に添乗員もつかない(*観光バス間のみあり)し、食事場所も自分達で探さないといけない。まさにサバイバル。
『ツアー』と呼ぶ事自体が矛盾しているような気がしたが、私らにしてみたら、自由度が高いのですぐさま気に入ったので、早速申し込み。

旅行も1ヶ月程前になると、期待感がどんどん沸き上がってくる。
機内での退屈しのぎ用のゲームボーイソフトを買ってくる。
寒そうなので、カイロやあったかい肌着を購入。
ガイドブックは買うともったいないので、1冊だけ買い、あとは図書館へ通い、何冊も借りまくった。
兄貴夫婦の所へおしかけ、スーツケースを借りた。
ドイツへ旅行した事のある知人へメールし、観光ポイントを尋ねた。

準備がゆるゆると進むなか、問題も発生。

ミュンヘンでのホテルが、中央駅から結構離れている所のホテルらしい。
重いスーツケースを引っ張って、また、おそらく雪道であろう道路を何分も歩くのはかなわない。
ホテルの変更を申し出るが、これがもう出発間近な事もあって、なかなか決まらなかった。

また、折角ドイツへ行くのだから、ブンデスリーガー(脚注)も見てみたいなぁと思ったが、試合のある日は、私らはローテンブルグに滞在。ミュンヘンに到着する頃には試合していないのだ。

更にもひとつ。
ミュンヘンから電車で2時間そこらのフュッセンと言う街では、ルードビッヒ2世のミュージカルをやっているという。
これも観てみたくて、ネットや本をいろいろ調べてみたのだが、どうも私らがミュンヘンに行く日は休みのようらしい。
下手くそな英語ながらも、ドイツの旅行会社にメールを出してみたのだが、返事はなし。
そんなに私の英語はヘンなのか?

もっとも、サッカーもミュージカルも、普段、全然見てないじゃん、って言われるとミもフタもないのだが、やっぱ、こういう時って観に行きたくなるものじゃないっすか。

まあ、観れないものは仕方がない。
他にも楽しいものは沢山あるだろうし、現地でビール飲んで、ソーセージ食べてれば、私ぁシアワセなのだ。

さあ。楽しみだなぁ。


(脚注)
【ブンデスリーガー】
ドイツのサッカーリーグ。日本で言うところのJリーグ。ワールドカップ日韓大会で話題になったカーン選手は、バイエルン・ミュンヘンFCに所属。